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1986 年度 実績報告書

太平記を中心とした南北朝期文学の研究

研究課題

研究課題/領域番号 60510234
研究機関中京大学

研究代表者

長谷川 端  中京大, 文学部, 教授 (70065168)

研究分担者 長坂 成行  奈良大学, 文学部, 助教授 (90131606)
キーワード西園寺管見記 / 太平記断簡 / 天正本太平記 / 太平記評判秘伝理尽鈔 / 太平記抄抜書 / 龍門本太平記 / 宝徳本太平記 / 終結部
研究概要

長谷川は宮内庁書陵部蔵「管見記・太平記断簡」について調査し、この断簡が天正本系本文を持つことを明らかにし、その天正本系本文の特異性・説話の収集・事実への接近などの志向性を指摘、さらには天正本系本文が室町時代のかなり古い時期から存在していたことを明確にした(『日本文学説林』)。次に太平記評判秘伝理尽鈔が太平記のどの伝本を底本にしているかという点は、従来等閑に付されてきたが、巻4の記事の配列順序、券15・16および巻26・27の巻の区切り方などを手懸りにこの問題を検討し、理尽鈔が太平記の梵舜本から流布本に一歩近付いた形の伝本に依拠することをつきとめた(「中京国文学」6号)。また昨年度に続いて永青文庫蔵『太平記抄抜書』下巻部分を翻刻した。さらに解題を執筆し、同書が理尽鈔の室町末期の抜書であり、理尽鈔の成立が通説よりも遙かに溯ることを述べると共に太平記享受史資料を紹介した。
長坂は前年度の調査に基づいて龍門文庫蔵太平記について検討し、この伝本が南都本系統の本文を有することを確認すると共に、南都本系本文の特徴の一端を明らかにした(「青須我波良」32号)。また一昨年から継続中の宝徳本太平記については、復元できる巻33の本文が、太平記成立当初の様相を伝える永和本巻32の本文と同系統であることを確認し、さらには書陵部本の巻32も永和本的本文を有するという見通しをたて、永和本巻32が孤立した本文ではないことを指摘した(「奈良大学紀要」15号)。他に光厳院行脚記事が作品の大尾に来る宝徳本の形態が古態を示すもので、現存諸本の形態はさらに作品を書き継いだ未完成の形ではないかとの推測を提出した(投稿中)。他に補助金には係らないが、『道平公記』の中の一首の和歌が楠木正成の出身を示唆するものではないか、とした短文を草した(「軍記と語り物」23号掲載予定)。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] 長谷川端: 中京大学文学部紀要. 21-1. 1-57 (1986)

  • [文献書誌] 長谷川端: 『日本文学説林』(和泉書院刊). 219-235 (1986)

  • [文献書誌] 長谷川端: 中京国文学. 6. 137-144 (1987)

  • [文献書誌] 長谷川端: 中京大学文学部紀要. 21-2. 117-132 (1987)

  • [文献書誌] 長坂成行: 青須我波良. 32. 15-33 (1986)

  • [文献書誌] 長坂成行: 奈良大学紀要. 15. 59-68 (1986)

  • [文献書誌] 長谷川端: "日本文学説林(宮内庁書陵部蔵「管見記・太平記断簡」)" 和泉書院, 219-235 (1986)

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公開日: 1988-11-10   更新日: 2016-04-21  

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