本研究は、昭和60年度から来年度に継続する3年計画の研究で、英語文法と英語の語彙に関する日本人大学生用標準テストを開発することが目的である。 本研究計画実現のために、言語テストに関しての文献研究を進める一方、(1)英文法テストの開発に関しては、文法関係の文献から、約1000項目を越える英語の文型・文法事項の抽出を行った。選択肢(錯乱子)は、学生の英作文に見られる英語の誤答分析の結果を選択肢決定に応用することにより、より客観的にきめ細かい錯乱子が得られるのではないかと考え、本年度は、主として誤答の収集を行った。また、(2)語彙テスト開発に関しては、テスト語彙の精選と選定のための基礎資料を作成した。 上記(1)については、文、名詞、代名詞、冠詞、形容詞、副詞、比較、動詞、助動詞、準動詞、受動態、法(命令法・仮定法)、関係詞(関係代名詞・関係副詞)、前置詞、接続詞、句および節、一致、話法、特殊構文、文の変換、要素の移動、否定、無生物主語、疑問などの諸分野から、和文英訳の形式でテストを作成・実施し、電算機を用いて学生の反応を分析した。また、(2)については、文部省検定済高等学校用英語教科書【英語【I】】26種類26冊、【英語【II】】27種類29冊、【英語【II】B】21種類21冊の合計74種類76冊に現れた英単語の使用頻度を電算機によって求め、テスト語彙選定の基礎資料とした。語彙に関しても、文法テスト開発と同様に、大学生が、いかなる語の意味をどの程度習得しているか予想するための予備調査を実施した。 本年度は、英文法と語彙のテストの一部が完成する予定であったが、完成不可能であった。その最大の理由は、上記の資料を学生から収集するためのテストを余りにも頻繁に行ったことであり、これ以上のテストの実施は不可能と認めざるを得なかった。
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