研究概要 |
ドイツにおいて法学がRechtswissenschaftとよばれるようになったのは, 18世紀末からである. この変化の原因はさまざまであるが, とくにつぎの点を指摘することができる. (1)後期絶対主義体制の下, 啓蒙期自然法学と立法学によって, 市民法は一般性, 確実性, 永続性の性質を有するとみられ, 体系化と法典化が説かれた. (2)裁判所と大学の間に, 法曹教育の分業が成立した. 官僚制化された裁判所において実務教育が, 大学においては理論教育がおこなわれるものとなる. (3)初期市民国家において, 法曹は一般市民を代表し, その市民的自由を保障すること任務とし, それゆえに, 法学はこの任務に応えるべきものを考えられた. (4)大学の改革, 人文主義やイデアリスムスの抬頭により, 知の体系的理論的統合が学問の目標とされた. 学問, 体系, 歴史の概念に新しい変化が生じた. (5)このパラダイムの下, サヴィニーを創始者とする歴史法学は, 理論と実践を綜合する法学を構築しようとした. かくして, 法学の課題は, 法認識の内面的連関, すなわち法体系を明らかにすることに求められるようになったが, 理論知と並んで, 実践知, 賢慮の要素も喪われたわけではなかった. 自由な技芸, 生ける直観による法の認識といった理解も, 継承された. このような枠組を用い, 未公刊資料に基づいて歴史法学の方法論を分析し, その応用例として, 法人理論の特質を解明した.
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