研究概要 |
1.新株発行の経済的メカニズムの解明とその法的含意 新株発行に関する法理論の確立のための基礎となるべき新株発行の経済的メカニズムを解明するために、主として経営財務論における株式評価論の成果に依拠しながら、新株発行がその発行態様および発行価額に応じて誰のどのような利益にどのような形で影響を与えるかのメカニズムを明らかにした。そしてこれにより明らかになる新株発行の経済的メカニズムから、法規制のあり方についてどのような意味が導き出されるかを考察した。 2.新株発行法制の比較法的研究 イギリス,アメリカ合衆国および西ドイツの新株発行法制を比較検討することにより、新株発行法制一般に共通する法理論の解明に努めた。とくに、アメリカ,日本と同様に授権資本制度を採りながら、西ドイツと同様に株主の新株引受権を法定したイギリス会社法に焦点を合わせ、新株発行法制のあり方およびその法理論的基礎を、資本市場との関連において検討した。 3.新株発行に関する法理論の形成 先に一応の成果を収めた新株発行の経済的メカニズムの解明およびその法的含意についての研究、ならびにその後に取り組んだ新株発行法制の比較法的研究の成果を基礎とする一方、他方でわが国の新株発行法制の変遷を辿りながら、従来の新株発行に関する法理論を批判的に検討することにより、総合的考察方法をもって新たな新株発行に関する法理論の形成を試みた。
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