研究課題/領域番号 |
60540166
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
核・宇宙線・素粒子
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
滝川 昇 東北大, 理学部, 助手 (00125600)
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研究分担者 |
佐藤 憲一 東北薬科大学, 薬品物理化学教室, 講師 (30158935)
塚本 龍男 東北大学, 理学部, 助手 (80004365)
吉田 思郎 東北大学, 理学部, 教授 (60091766)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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キーワード | 重イオン核反応 / 核融合反応 / トンネル効果 / ミューオン触媒核融合 / 前平衡過程 / 結合チャネル法 / 統計理論 / サプライザル法 |
研究概要 |
1.クーロン障壁以下での重イオン核融合断面積を結合チャネル法で計算し、核融合断面積が核の表面振動励起によって、一次元ポテンシャル模型の予測値に比べ著しく増大する事を示した。又、重い重イオン間の核融合反応を記述する場合、結合チャネル方程式の次元数を、良い近似の下に、著しく減らせる事、及び、散乱核の励起エネルギーを無視する断熱トンネル過程の極限に於ては、核融合反応に対して幾何学的解釈が得られる事を示した。 2.多次元空間での量子トンネル効果に於いて非断熱性の度合を表わす式を、摂動論及び新しく導入した断熱基底を用いる生成座標の方法によって導いた。この公式は、量子トンネル効果を起こす巨視的自由度と結合した微視的自由度が一般的に感ずる遅れを、前者のスピード、及び、後者の励起構造と関連付けるものである。一つの応用として、この方法をミューオン触媒核融合の問題に適用し、近年の中心的話題の一つである付着率が、ミューオンの大きな質量の為、従来の断熱近似での予測値より約30%小さく成る事を示した。 3.重イオン反応のサプライザル解析に現われる【√!E】という束縛が、励起子数に対する束縛である事を直接計算によって示した。又、励起子模型の角運動量分布を計算し、FKKやWilliamsの公式が最確値近傍を除いて良い近似を与えない事を指摘し、それに代わる改良された近似式を導いた。 4.原子核のハミルトニアン行列要素をランダム変数とし、母出数とグラスマン代数を用いる統計理論を前平衡過程に応用し、弱結合の場合にはAgassiらの結果と一致する事、又、強結合の場合は、同じ様な形で断面積を書けるが内容が異なる事、を明きらかにした。又、この方法によると原子核の微視的構造はハミルトニアンの二次モメントを通して統計的取扱いに取り入れられるので、この二次モメントを簡単な模型で計算し、その一番簡単な応用として、準位密度を計算した。
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