研究概要 |
1.実験及び計算で得られている多価イオン-原子間の電子捕獲過程に関するデータを収集し、その結果を名古屋大学プラズマ研究所より発刊した。 2.これまでこの研究で用いていたプログラム((1)Junkerコード,(2)ETFを含んだ結合要素計算用プログラム,(3)Close Coupling用プログラム)をスーパーコンピュータで効率よく走るよう書き直した。その結果計算に必要な時間は今までの1/10程になった。 3.昨年度計算を行った【(O-He)^(6+)】系に対しチャネル数を7から8に増やしてClose Couplingの計算を行った。これは7個(始状態+【O^(5+)】(n=3)-【He^+】に相関する6個)のチャネル以外に【O^(5+)】(n=4)-【He^+】に相関するチャネルが電荷交換過程に大きく影響を与えるかもしれないという指摘があったためである。そこで【O^(5+)】(n=4)-【He^+】に相関する状態を1個ずつ8番目のチャネルとして加えた7種類の8チャンネル計算を行ってみたが両者の差はすべて3%以内であった。つまりこの系では始状態に加えて【O^(5+)】(n=3)-【He^+】のチャネルを考慮するだけで電荷交換過程が十分記述できることがわかった。この結果の一部は1986年8月20日〜23日のICAP-X Satellite meetingで、残りは8月24日〜30日のICAP-Xで発表した。又これ等の結果を論文としてまとめ、J.Phys.Bに投稿したところ掲載が認められ、現在印刷中である。 4.実験家より要請のあった【(Be-H)^(8+)】系の計算を行った。その中で【(Be-H)^(3+)】系に対しては特に面白い結果が得られたので論文にまとめJ.Phys.Soc.Japanに投稿した。 5.【(B-He)^(3+)】系の2電子移行を含めた電荷交換断面積を計算中である。この系は厳密な計算例がほとんどない2電子移行過程に相当するチャネルが比較的エネルギーの低い所にあるためこれまでの方法を用いてそれを計算することができる特別な系である。
|