極冠域に入射する電子は、主に100eV程度のエネルギーを持った粒子であり、これはオーロラ帯の入射粒子エネルギーに比べると、1ケタ程度低いものである。このため、極冠域には通常、あまり明るいオーロラは見られない。このような低エネルギーの入射粒子をポーラー・レインと呼んでいるが、特徴的な事としては、空間的に一様な入射が見られる点である。更に興味ある点としては、この入射粒子のフラックスが太陽風のセクター構造と密接な関係を示すことがあり、我々はこの点に注目して解析を行なった。ここでは主に、人工衛生で得られた入射粒子及び太陽風データを用いて、ポーラー・レインのフラックスの長期変動(4太陽自転期間)と惑星間磁場等の関係を詳しく調べた。これらの結果をまとめて見ると、次のようになる。 1.南北半球でのポーラー・レインフラックスは、太陽の自転周期(27日)に伴なう、セクターの変化に対応して増減がくり返し見られる。すなわち、Away sectorでは北半球のX Toward sectorでは南半球のポーラー・レインフラックスが上昇する。 2.ポーラー・レインフラックスの変動と太陽風密度との関係はあまり顕著ではない。このことは、通常の太陽風粒子とは異なる、粒子群がポーラー・レインフラックスの増減に関与している可能性がある。 以上の研究結果から、ポーラー・レインの粒子は、惑星間磁場に沿った、ピッチ角を持つ特殊な粒子群が関係しており、それらの粒子が、地球から夜側にのびる磁力線と再結合を行ない、地上に入射してくるものと思われる。
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