1.根粒中のレグヘモグロビン(Lb)は、植物細胞核DNAとに在位しているグロビン遺伝子が根粒菌感染の刺戟により活性化され発現するが、昭和61年度において、菌感染後最初にLbを生合成する細胞を明確にした。方法はLbの純粋分離し、抗血清(ウサギ)を作製し、根粒菌感染根組織にこの抗血清を添加。洗浄後FITCラベル-抗ウサギIgGヤギ抗血清を追添加、Lb合成細胞を確認した。その細胞は根組織内皮(endodermis)直前の細胞で、感染系より放出された少数の細菌細胞によりLb生合成が誘導されることが判明した。この時点における菌細胞は、根粒菌生活環の最初期のバクテロイドの形態を呈していた。また、根粒組織細胞壁はDriselase処理により溶解するが、本来の根組織細胞壁は分解しないことが判明。従って、Driselase処理によりdenovo細胞壁を有する根粒細胞であるか否かの判定が容易となった。その結果、先述のFITCラベル法と相俟って、根粒形成始動細胞がより明確に断定出来るようになった。 2.エンドウ根粒中よりレグヘモグロビン(Lb)のmRNAを抽出精製し、【^3H】-leucineの取り込みをwheat lysateタンパク質合成系を用いて、その保存性を確認した。また、エンドウDNAを抽出し、ショットガン法により得た断片をpBR322に挿入し、E.cali H101にて、エンドウDNAライブラリーを作製した。以上の成果を基にして、次年度はグロビンcDNAの作製、増殖が可能となった。このようにして得られたグロビンcDNAを用いて、宿主細胞内での感染刺戟によるグロビン遺伝子発現機構を解析することが可能となることが期待される。
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