研究概要 |
1.北海道屈斜路湖周辺および裏盤梯において、野外調査を行い、約400点の資料を収集した。今回は特に水中の蘚の生態について調査を行った。 2.アジア産ヒラツボゴケ属(Glossadelphus)の標本を内外の標本庫より借らんし、研究を行った。昭和62年度中にモノグラフとして発表の予定である。 3.サナダゴケ科(Plagiotheciaceae)のサナダゴケ属(Plagiothecium),エゾノヒラツボゴケ属(Isopterygium),ツヤイチイゴケ属(Herzogiella),およびキャラハゴケ属(Taxiphyllum)に属する28taxaの染色体の研究を行った。このうち約半数の種は今回はじめて染色体数が明らかになった。また多くの種の染色体数の修正を行った。これらの結果をもとにイチイゴケ属に2亜属(うち一つは新亜属)を認めるのが妥当であり、またこれまでイチイゴケ属に分類されていたI.pulchellumはエゾノヒラツボゴケ属に移すべきであるとの結論に達っした。以上の結果は昭和62年度中に発表の予定である。 4.シトネゴケ目(Hyprobryales)の多くの種について、枝および茎の上の休止芽の形態と発達について多くの観察を行った。休止芽の周囲の偽毛葉の有無とその形態と共に、本目の分類における重要な形質であることが明らかとなった。 5.昭和60年7月に屈斜路湖の水中で得られたウカミカマゴケ(Drepanocladus fluitans)とその変種であるクッチャロカギハイゴケ(Var.Kutcharokensis)の沈水培養による変異の研究を続行し、多くの知見を得た。尚、ハイゴケおよびサジバラツユゴケの沈水培養の結果について報告した。 6.昭和60年度の研究協力者・樋口正信は蘚類4種の沈水培養による假根の形態の変化について報告した。
|