研究概要 |
【I】)生殖細胞膜の分離・精製には、前年度の研究で明らかにされたように当教室で飼育されているアフリカツメガエル二系統のうち、J群を使用する方が有利であることが判ったので、J群由来の受精卵を用いて生殖細胞質の分離・精製を行った。一回の実験につき2500個の受精卵を0.25M庶糖液中で凍結し、クリオスタット中で薄切し、動物極細胞質,植物極細胞質及び帯域細胞質に分離した。集められた植物極細胞質を差次遠心することにより、20,000g沈殿分画を得た。予備的なEM観察により、その2,000g沈殿分画には生殖顆粒と思われる細胞小器官が認められた。 【II】)得られた20,000g沈殿分画に"生殖細胞決定因子"としての活性が含まるかどうか確めるために、"生殖細胞決定因子"のバイオアッセイ系の確立をめざした。卵の動一植物極軸を横だおしにした胚(R胚)の第一卵割は、もともとの動物半球と植物半球を二分する。R胚の二細胞期の片側割球に蛍光標識デキストラン・アミン(FDA)を注入しその後の発生を調べたところ、もともとの植物半球にFDAを注入した胚の始原生殖細胞(PGC)はすべて蛍光を発していた。対照実験として正常胚二細胞期の片側割球にFDAを注入した場合には、約半数のPGCが蛍光を有し、約半数のPGCは全く蛍光を発していなかった。この実験から、R胚二細胞期のもともとの動物半球にある細胞質分画及びFDAを注入し、その後蛍光を有するPGCが発生・分伏してくれば、その細胞質分画には"生殖細胞決定因子"が含まれていると結論される。 【III】)生殖細胞質保有細胞のin vitroでの同定をめざして、【Ca^(++)】,【Mg^(++)】欠除生理的塩類溶液中で解離した割球を、ミトコンドリアを特異的に染めだすといわれるローダミン123で染色し、顕微鏡下での追跡を行なった。
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