1.発生段階表の作成 ヒメイカの発生を時間を追って詳細に観察することにより、前年度までに不明であった点を補って完全な発生段階表を作成することができた。 2.生体染色法 ヒメイカ胚は極めて透明であるため器官形成の初期過程は観察しにくい。ヒメイカ胚に適した染色剤を検索した結果ファーストグリーン、メチルグリーン、メチレンブルーが良好であることが判明した。 3.卵膜除去実験 ヒメイカの胚体形成機構を実験的に解析するためには、卵膜の除去が不可欠である。卵膜を機械的に除去することはどうしても出来なかった。各種薬剤を用いて除去を試みたところ、1%パパインと1%アクチナーゼの混合液中で約15分で除去出来ることがわかった。しかし、卵膜を除去された胚細胞はたちどころに異常をしめし、卵膜のない胚を飼育して正常な発生を行わせることは、いまのところどうしても成功しない。したがって、胚に手術的な処理を施して胚体形成機構を解析することは現在のところ不可能である。 4.微量注射の試み ヒメイカの細胞系譜を調べる目的で微量注射を試みた。卵膜を除去しないでなんとか注射出来ないものかと試みたが現在のところ、あらゆる試みは失敗している。 5.結窄実験 卵膜をつけたままで行える手術的実験として、卵膜の上から卵を結ることを試みた。卵は一部を結窄されても発生を続け、様々な異常形態を示す。次年度に詳しく解析する予定である。
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