1.光刺激によるウズラLH分泌と排卵に伴うLHサージの違い光刺激によってウズラのLH分泌を誘導すると、始めの2-3日は、episodicな分泌様式を示し、一日の後半、夜明けから20時間ほど後に一過的な増加、減少が見られる。この分泌パターンは雌の排卵前に見られるLHサージとよく似ている。雌においても未成熟な状態から成熟する過程では、このようなLH分泌を示す。ところが、この光刺激によるLH分泌はフエノバルビタールやペートバルビタールなどの麻酔剤では阻害することができない。注射の時間をいろいろ変えても駄目である。ところが同じフエノバルビタールを、排卵に伴うLHサージのピークが現われる10時間前に注射をすると、LHサージは完全に抑えられ、従って排卵をおこらない。バルビタール系麻酔剤よりもモノアミン、セロトニン系神経伝達物質の合成、分泌を特異的に抑制する薬剤を用いたが、光刺激によるLH分泌を抑制することはできなかった。光刺激によるLH分泌の過程には神経系を介さない。光が直接に効果を現わすものと推測される。 2.一過的な分泌パターンはやがて常に高い値を保つように変わる。この過程にはテストステロンは関与せず、テストステロンはむしろ抑制的に働く。In vitro実験によると、LHRHをずっと作用させたり、短い時間間隔で作用させるより、60分間に一回ほどの割合の方が、LHの放出を持続させることができる。LH分泌が続くためには、上位の視床下部より、適当な間隔のLHRHの作用が重要である。 3.メラトニンが、上に述べたLH分泌の初期過程に関与するかどうか調べたが、関与しているという結果は得られなかった。
|