研究概要 |
サブミリ波のヘテロダイン分光に於ては, 局部発振源と低雑音ミキサーの研究が重要であり, 3年間を通じ各々に以下の様な研究を行い成果を得た. 1 局部発振源として使用する光励起サブミリ波レーザーの周波数及び出力を安定化するため, その鍵をにぎる励起用CO_2レーザーの周波数・出力の安定化を (1)サブミリ波レーザーの活性媒質として使用する気体分子のシュタルク効果(詳しくはシュタルクラムディップ)を利用して行う方法を考案し, 実験的に10^<-8>以上の周波数安定度(Δf/f)が得られる事を確認した. (2)周波数安定化した2周波発振He-Neゼーマンレーザーで光路差を制御した外部共振器を基準にしてCO_2レーザー周波数を安定化する方法を考案し〜10^<-8>周波数安定度を得た. (1)の方法は簡単な方法であるが, シュタルク効果を示す発振線に対してのみ有効であり, (2)は少々複雑であるがどの発振線に対しても有効である. 2 ミキサーについて (1)4波長アンテナとコーナーリフレクター付き準光学的マウントのNb点接触型接合を作製し, 469μm(693GHz)で-16.8dBの変換効率と1660Kの雑音温度(SSB)を得た. (2)ロングワイヤーアンテナ付きSIS素子をPb合金系で作製して, コーナーリフレクター付き準光学的マウントにセットして受信器を構成し, 604GHzと67GHzの9次の高調波混合の実験から55.4αB, 693GHzと139GHzの5月の混合実験で43.5αBの値を得た. (3)ボウタイアンテナ付きNb系SIS素子を作製して, レンズ系を組み合わせた準光学的導波路と共に受信器を構成し, 337GHzにおける基本波混合の実験を行なって, 準粒子による混合が行なわれていることを確認した.
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