研究概要 |
高エネルギー電子線の利用拡大の一つとして、大強度ピコ秒パルス発生加速器からの28MeV電子パルスを用い、チェレンコフ効果を利用して、紫外から赤外の連続スペクトルのパルス光(最短幅【10^(-11)】秒)を発生させ、これを各種実験用の汎用光源にする開発研究を行い、以下の成果を得た。 1)誘電物質の選択:チェレンコフ放射の光量は、誘電物質の屈折率nが小さい程大きく、放射角は、nが大きい程小さく、光源の必要条件である光量が大で、指向性の強い誘電物質はない。nの異る各種誘電物質について実験を行い、光を利用する場所が加速器出力窓に近い場合は、高純度溶融石英が、又、20〜30m離れて利用する場合は、1気圧空気が適していることが分った。連続的にnを変えるには、空気又は、単体ガス圧を可変にすればよいことを示し、高圧ガス放射セルを試作した。 2)チェレンコフ放射光の分光分布:石英と空気からのチェレンコフパルス光の分光分布を測定した。紫外部で強く、赤外領域まで連続のスペクトルで、重水素ランプに代って紫外標準光源にもなり得る。誘電体物質の吸収端附近の紫外光の長距離輸送には、放射体形状や光学系に工夫が必要であることが分った。3)最短光パルス幅:実時間ストリークカメラシステムを用い、種々の加速器運転モードでの光パルス波形の測定を行い、単バンチモード電子パルスを直線管窓から取出し光変換すると、約30PSが得られ、速度変調のタイミングを工夫し、収色性270゜偏向磁石を通して取出した場合、約14PSの光パルス幅を得た。4)加速器,放射体,光学系の配置を工夫し、電子ビームの拡がり1゜、チェレンコフ光の拡がり2゜程度のとき、加速器出力窓附近、そこから約10m、および、約24m(低放射線場)離れた3個所に、パルス光利用実験場を設置し、そこでの光パルス断面,強度等を明らかにした。
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