研究概要 |
1.能動フラッタ制御風試模型製作及び実験 設計・製作した模型はスパン1060mm,コード長300mmの矩形片持翼とし、翼型はNACA0018を使用した。弾性軸にはアルミ製一本桁を用い、桁には10個の基本翼素と舵面駆動部翼素が取り付けられている。計測量は舵面駆動角度,翼端部加速度,及び歪ゲージからの弾性変位である。この供試模型を使い、重量,慣性試験,振動試験を実施して、模型の構造弾性特性を把握したのち、本学自由傾斜風洞でフラッタ速度測定実験を行った。その結果、フラッタ試験用模型作製に関する資料と理論解析モデルを確立することができた。計測値のディジタル演算処理にはC言語を用いた。これによりアセンブラライクな仕事ができ、演算の高速化が可能となった。 2.風洞での突風発生とそのモデル推定 突風荷重軽減実験を考慮し上記考察を行った。突風発生には、フラッタリングフラッグと乱流格子を併用した複合方式が最も適当である。また測定データ時系列からAIC法を使い、ARMAモデルの同定を実施し、理論解析に適した2次又は3次の連続時間モデルを作製することができた。 3.フラッタ制御則の理論検討 初めに2次元翼フラッタ発生機構と種々の空力モデルの妥当性を検討した。この結果、翼断面重心、弾性軸及び風圧中心3者の相互位置関係により、フラッタ発生機構が異ること、捩り変数フィードバックの方が安定領域がより広く、パラメータ変動にも強いため、好ましい制御形式であることが判明した。さらにモーダルコスト解析法を使い、モデルの低次元化に関する考察を行った。一方、制御法則の低次元化とロバスト性改善に関しては、種々の理論方式を検討し、ナイキスト線図を望ましい形状に修正する方法を考案し、実用的な制御法則を誘導した。
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