異なる焼結法および焼結条件により製作した同一組成を有する4種類の窒化けい素の高温における3点曲げ試験を行い、それらの破壊強度特性ならびにそれに及ぼす焼結法および密度の影響などについて検討した。また、圧痕法および破面観察にもとづく破壊靭性評価ならびにそれに及ぼす焼結法および密度の影響などについて検討した。さらに、新たなセラミックスの靭性評価法として高温における疲労予き裂導入法を開発し、その靭性試験を行うとともに、圧痕法による、靭性評価を行い、これらの評価法の相互比較を行った。得られた主たる結果は以下の通りである。 (1)製作した4種類の窒化けい素の曲げ強度はいずれの供試材とも室温から800℃程度までほぼ一定値を示し、それをこえると急速に低下した。1000℃における破壊確率を調べた結果、平均破壊応力は密度とともに低下したが、ばらつきの程度を示すワイブル係数mには焼結法の影響が認められた。 (2)破壊靭性値は密度とともに低下した。また、ワイブル係数にも密度の影響が認められ、密度とともにm値は低下した。 (3)窒化けい素の切欠き付3点曲げ試験片に1200℃において繰返し負荷を加えることにより、疲労予き裂を導入することができ、得られた疲労予き裂試験片は少なくとも金属材料に対する靭性試験片としての各種要件をほぼ満足した。 (4)疲労予き裂試験片を用いて得られた破壊靭性値は圧痕法により得られたそれとほぼ等しかった。高温における破壊靭性値は、1000℃程度までは常温の場合とほぼ同程度の値を示した。
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