1.非伸縮の運動学的内部拘束を有する弾性体の有限変形理論の適用と展開に関して (1)種々の荷重を受ける段部を有するはりとき裂を有するはりの大たわみ解析を行い、大変形の様相や応力・特異応力の分布を明らかにした。さらに破損の様式についての検討も行った。 (2)特異応力曲面の構造の解明を行った。特に、任意の有限変形および増分変形に対し、特異応力曲面の平衝条件を誘導し、非伸縮の内部拘束を有する弾性体の分岐問題の境界条件の首尾一貫性を明らかにした。 (3)静弾性ショックの構造・発生条件の解明を行い、変位に関する平衝条件式が双曲形であることが十分条件なことを示した。また、エネルギー的な考察も行い、この視点からの解の多重性について検討し、従来の理論の誤りを指摘した。 2.非伸展性の運動学的内部拘束を有する弾性体の有限変形理論の提案と展開に関して (1)生体膜の構成式の調査を行い、ある種の生体膜の変形挙動は非伸展の運動学的内部拘束によって近似できることを示した。 (2)面積を保存する変形の運動学の解明を行い、非伸展の拘束に対する反作用応力の表式を求めた。 (3)反作用応力と平衝条件式の考察を行い、その条件を求めた。 (4)平面問題は、非伸縮の内部拘束の場合と同様に取扱えることを示し、軸対称問題に関してはその基礎式と解析方法を提案することができた。
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