本研究ではデータフロー型プロセッサを用いた画像処理システムを製作し、これを模型車に搭載して実際に経路誘導の実験を行い、これを利用してデータフロー型プロセッサを用いたシステムの有効性及び問題点を探ることを目指して研究を進めた。本システムはデータフロー型プロセッサ8個をパイプライン状に並べた構造をしており、データフロー方式を採用したという並列性とCPUをパイプライン状に配置したという並列性の2種類の並列性を兼ね備えたシステムとなっている。このことによりこれまでの画像処理システムでは達成できなかった高速な処理が行える。 本研究では経路誘導のなかでも、白線に追従して進むという動作と障害物を回避しながら進むという動作を取り上げ自律移動を試みた。白線追従実験においては、黒い床の上に白いテープで分岐点を持つ経路を設定し、一眼から取り込んだ画像に対して処理を行うことにより分岐点においては予め指示された方を選択しながら経路に追従して進むという動作を行わせた。1画面当たりの処理時間は約6.3msecで行うことができた。しかし、ハードウェアの制約から実際の模型車の操舵の動作は30Hzで行い約40cm/secでの走行が可能であった。 障害物回避実験においては、二眼を用いることにより黒い床の上の白い模様と白い障害物を識別し、障害物と認識された場合だけ回避しながら進むという動作を行わせた。この動作では1画面当たりの処理時間は約230msecで行うことができ、約40cm/secでの走行が可能であった。これらの実験を通して、データフロー型プロセッサを用いた本システムは高速な処理が行える有効なシステムであることが確認できた。
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