6.6kv用CVケーブル系統に1線地絡故障が発生すると、ケーブル系統は故障点からみると容量性回路となっていること、故障点はアークによってポリエチレンが熱分解し激しくガスを噴出することが主な原因となって、架空線系統とは著しく相違した故障様相を呈することを指摘している。すなわち、ケーブル系統の故障点に発生するアークは、高周波の間欠アークとなるため、これらの高周波間欠アークによってもたらされる異常電圧も完全な地絡時に発生するものとは非常に異なり、系統保護上の立場からも詳細に解析する必要がある。 本研究は、このような間欠アーク地絡を起こしているケーブル系統のシミュレーションを行い、これらの結果を実験と照合させ、シミュレーションの妥当性を得た。次に、中性点抵抗、ケーブル長および間欠アーク再点弧時の破壊電圧などが異常電圧に及ぼす影響を検討した。6.6kvの非接地系統では無負荷状態において故障直後の過渡異常電圧でおよそ3倍、間欠アークによって接続する定常異常電圧でおよそ2倍(いずれも常規対地電圧波高値に対する倍数)の大きさをもつ。もし、これを中性点抵抗値を低くすることによって抑制しようとすると50Ω以下にする必要がある。 次に、負荷を接続したケーブル系統1線地絡現象のシミュレーションを行い、実験値と比較検討した。妥当な結果を得たので、再点弧電圧および中性点抵抗が、定常異常電圧に及ぼす影響について検討した。定常異常電圧は、無負荷の場合、ほぼ2倍であるのに対し、負荷が連結された場合、2倍から2.5倍に上昇していることが分かった。また、中性点接地抵抗の値が、44.5Ω〜235Ωの範囲で、間欠アークからパルスアークに移行し、電圧波形も大きく変化することが判明した。
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