昨年度に引き続き北陸地方冬季の雷撃放電を電気的及び光学的に観測し、その結果から雷撃点マップの作成を試みた。暖冬の影響で雷放電の発生は例年に比べて少なかったが、本年度の主な結果は次のようにまとめられる。 1.11月から2月までの冬季4ケ月間の針端コロナ電流を測定し、雷雲の飛来状況を連続的に求めた。特に形状の異なる2本の針端を用いた比較測定によってパルス状電流が雷放電に伴う放射電磁界によることを明らかにした。 2.ビデオカメラを1台増設し合計4台用いて雷放電路の観測視野の拡大をはかった。得られた放電路のほとんどは、低高度で水平に進展する傾向にあった。また、異なる地点への同時雷撃や異なる電荷中心からの多重雷撃も観測され、冬季雷の特異性が改めて確認された。 3.2台のビデオ装置のステレオ音声端子へ外部マイク4本により雷鳴信号を入力し、雷鳴の多地点同時観測を行った。自然雷を対象にする為に長時間録音機能を利用して記録した。再生された結果は放電路の復元解析に充分利用できるものであった。しかし、冬季の強風、降雪下で遠方の小さな雷鳴を記録するとき、風などによる雑音対策が今後の問題として残った。 4.雷撃放電に伴う磁界変化の測定は、上記2の放電路の特異性によって大きく影響され、雷撃放電電流の計算には至らなかった。今後、測定システムの見直しを行い改善する予定である。 5.パソコンによる自動観測はプログラムの改善が行なわれ単発2現象の同時測定が可能となり、今後の多角的な観測に有用な結果を得た。 以上の観測から本年度は4回の落雷について雷撃点マップが作成された。さらに、本年度は地元電力会社と共同で配電線に発生する落雷時の零相電圧、零相電流の測定が開始され、電力設備の落雷事故に絞った事故との相関の解明が緒についたところである。
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