研究概要 |
本研究ではタングステンブロンズ型並びにペロブスカィト型強誘電体化合物の実用化を目的として各種基板上にKLN,PKN,PT,PZT膜をスパッタした。高品質なKLN膜はKBNやサファイア等の適当な基板上にエピタキシャル成長すること、更に非晶質基板上に〔001〕配向することを見い出した。KLN膜の光導波路としての光減衰率の測定を行ない7.6dB/cmの値を得た。実際にKLN膜を用いた表面波素子を試作し、実験結果と計算結果は良い一致を見た。一方、良好な焦電特性が期待できる強誘電体である正方晶系ペロブスカィト型〔001〕PTと菱面体晶系ペロブスカィト型Pb(【Z_(r1-x)】Tix)【O_3】のx=0.05〜0.10付近の組成の〔111〕軸配向薄膜をRFマグネトロンスパッタリング装置を使って作製し、その電気的特性を測定した。〔100〕Pt/〔100〕MgOと〔111〕Pt/サファィアC面基板上にそれぞれPT及びPZT配向エピタキシャル膜をスパッタ法により作製した。種々の基板を試みたが、サファィアC板のみが再現性良くPT及びPZTの配向性に優れていた。ペロブスカイト型のPT,PZT薄膜を得るためのスパッタリング条件は高周波入力150W、スパッタガス圧2.0x【10^(-2)】Torrである。最も重要なのは基板温度であり590℃〜610℃付近のかなり狭い範囲の温度が必要であった。PTのキュリー温度は455℃であった。強誘電体PZT薄膜の比誘電率の測定においてキュリー温度は202℃〜216℃の値を示した。焦電係数は期待どうりPT,PZTとも比較的高い値を示した。
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