研究概要 |
光モード変換素子用ガーネット結晶薄膜をRFスパッタリング法で作成する際、光伝搬損失,マイクロ波静磁波の伝搬損失を小さくすることが要求される。基板温度500℃前後で作成されたアモルファス薄膜を1000℃、約6時間熱処理することによって再結晶化させると、その薄膜のマイクロ波静磁波の伝搬損失が小さくなることがわかった。次にマイクロ波静磁波の伝搬損失のガーネット結晶薄膜膜厚依存性について調べた。膜厚を1〜3μm変化させたとき、その伝搬損失は膜厚が厚くなるに従い小さくなった。伝搬するマイクロ波の周波数は印加される外部磁界の大きさで決まり、例えば、約900Oeで周波数4.5【GH_z】である。マイクロ波周波数を変えて静磁波の伝搬損失の周波数依存性について測定した結果、周波数が高くなるにつれて、その損失は大きくなり、2.3【GH_z】で約1.6dB/cm,6.4【GH_2】で12.8dB/cmとなった。 ガーネット結晶薄膜にマイクロ波静磁波を効率よく励振させるために、マイクロ波用電極を2つの方法で作製した。金メッキしたアルミナ基板をフォトリソグラフィー法によって作製したマイクロストリップ線路と、構造と作製方法が比較的簡単である、細い金線を銀ペーストで接着した線路を用いて静磁波の励振を行なった。作製が簡単な金線を用いた線路でもマイクロストリップ線路に比べて挿入損失に関して遜色はなかった。 次にTE-TMモード変換の実験的確認を行なった。波長1.15μmのHe-Neレーザ光をプリズムを介してTEモードで伝搬させ、別のプリズムから取り出した光をGeフォトディラクタで検出した。マイクロ波スイープジェネレータからの出力5mWのパワを増幅器により、約500mWに増幅し、静磁波を励振させた。その結果、外部磁界520Oe、マイクロ波周波数2.25【GH_z】において0.98%のTE-TMモード変換効率を確認できた。
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