研究概要 |
昭和60年度にインプリメントされたノイマン処理機構のハードウェアがデータフローコンピュータ上で動けるようにするためにソフトウェアを開発し基本原理を確立した。具体的には次のように行った。 (1)データフロー処理,ノイマン処理間の移行処理 両処理間をプログラムの実行が移行できるように、移行アクタと呼ばれる命令を用意した、移行アクタは、データフロー処理からノイマン処理への移行時に、原則的にデータフロー処理のトークン中のデータをノイマンコンピュータのレジスタ、または、メモリ領域に格納し、また、データフロー処理アクタの出力アークをノイマンコンピュータのプログラムカウンタに格納する。ノイマン処理からデータフロー処理への移行の場合はこの逆を行う。 (2)引数の引渡し方法 データフロー処理中でのノイマン処理プロシジャの呼出し、または、この逆の場合について、引数とコントロールの送授方法について検討し、基本原理を確立した。 (3)ノイマン処理における変数域 データフロー処理は変数域という概念を持たないので、並列処理においても副作用を生じないが、ノイマン処理は変数域を持っているので、データフロー処理にノイマン処理を導入した場合には、大きな問題となる。本研究ではノイマン処理における変数域を,1)ローカル変数域、2)インスタンス間共有変数域,3)共有変数域の三種類にわけた。1)と3)はノイマン処理における変数域とほぼ同一のものであるが、2)は、本研究独特の変数域である。このようにわけることにより、データフロー処理中のノイマン処理においても、効率的な変数域管理ができることが明らかになった。
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