研究概要 |
【TM_(020)】モードおよびより高次のモードの窓出力型円筒空胴多素子構造を用いた発振器/電力増幅器に対して、モード解析、電磁界解析および実験を行い以下の成果を得た。 (1)この構造の発振器に対して、集中定数等価回路モデルを用いたモード解析を行い、【TM_(0N0)】モード(n=1,2,…)動作および【TM_(M10)】(m≧1)モード動作により素子出力を完全合成できることを示した。さらに希望の出力合成モードが単独安定になるための不要モード抑制法を与え、特に【TM_(020)】モード合成の場合には従来のプローブ出力型よりも不要モード抑制が容易化されることも明らかにした。 (2)上記の出力合成モード空胴の電磁界を有限要素解析により求めた。さらに、素子一電磁界結合度の構造パラメタ・モード次数に対する依存性を求め、モード次数が高くなるほど結合度が低下し、出力効率も低下する傾向があることを示した。高次モード合成では【TM_(M10)】モード合成の方が【TM_(ono)】モード合成よりも合成率が高くなる場合がありうることも示した。 (3)ガンダイオードを用いた出力合成実験では上記の結果がほぼ確認できた。【TM_(020)】モードおよび【TM_(210)】モード合成ではほぼ完全出力合成が達成できたが、モード次数が高くなると合成率が低下した。高次モード合成として同じ構造の多素子空胴を用いた【TM_(040)】モードと【TM_(810)】モード合成との比較では、後者の合成率の方が相当高いことが示された。 (4)上記多素子構造を通過形および反射形電力増幅に関して、【TM_(020)】モード8素子空胴を用いた実験では、後者が1開口空胴であるため調整容易で、出力合成率、帯域幅共に前者よりも優れていた。 (5)2台の【TM_(020)】モード発振器の並列運転の実験では100%近い合成率の安定動作が得られた。並列運転時に一方の発振器で素子故障が生じたときでも故障発振器の出力は並列運転により一部回復し、相対的特性劣化は、単独動作時よりも小さいことが示された。
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