研究概要 |
本研究は, 構造解析や流体解析における有限要素解析を実施するに当たってその解析をより高速化し, より効率の良い解析を行う専用計算機を開発する研究である. 有限要素法の計算経過を詳細に検討すると, 流体解析や構造解析などの分野によらずに, いかなる場合においても, ほとんど同一の計算過程により処理されることが判る. また, この計算過程が, 有限要素法の独特の計算であることが理解される. そこで, この中心となる計算に着目し, その計算を特に高速化するアルゴリズムにより構成されている専用計算機が開発されれば, より効率の良い解析が実施できる. このためには, 計算のアルゴリズムを内蔵するハードウェアが必要となる. これには, 高額の費用が必要になるため, 本研究においては, 8086/8087を主体とする演算プロセッサを6個, 外づけする方法によって高速化を図る方法を用いた. この結果, 演算プロセッサを用いた場合と, そうでない場合では, 演算効率が5.7倍に向上することが確認された. しかし, 演算プロセッサの個数を4個以上に増加させても, それ以上の効率を得ることができない. これは, 演算に費される計算時間よりも, 各演算装置へデータを割り付るための計算の方が計算時間が長くなるためである. この問題は, 演算プロセッサを外づけする方法では解決できない. そこで, 大型コンピュータにより, 演算プロセッサに最も適するアルゴリズムの検討を実施した. この結果, 要素ごとのマップの作成により, 並列演算を実施するアルゴリズムが最適であることが判明した. またこの方法は, 大型計算機を用いた有限要素解析においても有効であることが確認された. 特に, 実際の有限要素解析では, 非線形計算が重要であるが, 本研究により開発されたアルゴリズムは, 非線形解析についても, 有効であることとが, 実際の計算例題により例証することができた.
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