コンクリート供試体中に鉄筋を埋設し、コンクリート表面に塩水を噴霧させる急速試験により内部鉄筋を腐食させ、腐食生成物などを分析した。急速試験は温度60℃一定として、塩水の噴霧と乾燥をくり返す方法とした。腐食による膨張ひびわれが発生する前後の時点で鉄筋をコンクリート体中より取り出し、X線マイクロアナライザーにより腐食生成物の分析を実施した。これによると、腐食生成物の多くは【Fe_3】【O_4】の形態であった。 次に、鉄筋とコンクリートの界面における諸性状を検討した。これは、腐食生成物のコンクリート空隙への移動を検照することを目的とするもので、鉄筋周辺のコンクリートのFe分析、コンクリートのポロシケー測定などにより実施した。実験結果によると、腐食生成物のコンクリート体中への大規模な溶出は認められない、材令などによるポロシチーの変化は通常のコンクリートとほぼ同様である、などが明らかとなった。 以上の結果から、ほぼ次の事項が明確となったと思われる。 1)腐食生成物の多くは【Fe_3】【O_4】である。(塩水噴霧の試験において) 2)腐食生成物のコンクリート空隙への大規模な溶出はなさそうである。
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