本年は3年継続の2年目で、「土の3相構造と透水性・透気性の関連に配慮しつつ、不飽和土の変形特性を究明する」計画で、次のような成果を得た。 1.不飽和土の3相構造と透水性・透気性に関して 低飽和度の土の透気性は十分認められるが、標準砂では約50%の飽和度で、シルト質土では密度の影響があるが、50%以下でそれぞれ閉塞状態になることを観察した。このため不飽和土の間隙水圧(負圧)と空気圧を計測しつつ、平衡状態の土柱の下部から土中へ送気する実験を行ない、透気により土柱下部の間隙空気が押し上げられ、間隙水圧が負から正に変化する経過を観察できた。これは空気の閉塞状態を産み出す機構を示唆しており、これが不飽和土の変形・強度に及ぼす影響は次述する「土の要素試験」による不飽和土の試験結果の解釈にも利用されるものであった。 2.不飽和土の変形特性に関して 不飽和土の3軸試験機を試作した初年度が試験システムの確立にあったが、今年度は不飽和土であるがゆえに増えている計測量の精度点検と検定のために多数の検定試験を行ない、等方圧縮時と圧縮せん断時の変形特性を調べた。その結果、等方圧縮時は初期飽和度Sroが約50%で間隙空気圧Uaの発生を急増させるが、体積歪はSroの増大につれて漸増すること、歪増に対するUaの発生はSroが50%を境に急増することがわかった。一方、せん断時には50%の飽和度でUaの発生増加が大きく、体積歪も最大になる、という興味深い結果が得られた。 高飽和度試料では試験条件の設定が難しいことや試料作成手法に疑点もあることが解り、試験法を改善する予定であるが、採用したシルト質土という土質に対しては限界的な飽和度が約50%付近にあることが判明した。
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