本研究は緩傾斜面上での不規則波の砕波の連なりと繰り返し長さの実態を詳細な水理模型実験で明らかにするとともに、その予測手法の提案をしようとするものである。なお、対象とするのは斜面上を進行する進行波と斜面上に構造物が設置された場合に形成される重複波の二種類の性質の異なった波である。得られた成果の概要を述べる。(1)斜面勾配が緩やかになるほど、砕波の確率の最大値は小さくなる。(2)砕波確率が大きくなるほど、砕波の連長が大きくなり、砕波の繰り返し長さは小さくなる。そして、砕波確率が最大になる地点で砕波の平均繰り返し長さは極小となりほぼ4程度になる。(3)砕波している波の確率は波が汀線方向に近づくにつれて大きくなり、その平均連長は汀線方向に向って指数的に大きくなっていく。(4)進行波と重複波とも、砕波の確率が与えられると、波の相互干渉を考慮しない確率モデルで、砕波の連なりとその繰り返し長さの確率分布と平均連長と平均繰り返し長さをかなりの精度で予測することができる。(5)砕波確率の推算手法を進行波に対して提案した。しかし、重複波の砕波確率の推算手法を提案することができず今後の課題として残された。
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