研究概要 |
移動床流れにおいて形成される河床波は流路の抵抗や流砂量に大きな影響を及ぼす。本研究は河床波による抵抗の問題を解明することをめざしており、実験水路内で形成される河床波の波高がどのような水理量によって支配されるかを明らかにしようとするものである。 これまでの研究において砂漣の発達過程についてはかなり明らかになってきているので、本研究においては砂堆の発達過程を三次元的に計測する方法を開発した。すなわち、幅1m、長さ18mの中規模の水路において砂堆を発生させ、三台の超音波式河床計によって通水を続けながら河床波の発達過程を三次元的に計測した。計測は水路の流下方向に150cm、幅方向には2cmの間隔で74cmの範囲にわたって行い、1回の計測に75秒要し、河床波が十分に発達するまでの150分間に合計67回の計測を行った。計測結果は計算機で処理した。本研究により、河床波の三次元形態の経時変化に関する詳細な実測資料が得られた。その結果に基づき、河床高分布の歪度,河床波の進行速度,河床波の変形過程,河床の洗掘・堆積の特性が明らかにされ、河床波の発達過程に斜めらせん流が深く関与していることがわかった。 つぎに、幅40cm、長さ8mの直線水路において砂漣を発生させ、(1)移動床河床波上の流れの各瞬間の様子を可視化する方法、(2)同様の水理条件のもとで形成された河床波を固定し、その上の流れを可視化する方法を併用することにより、河床波上の流れの三次元構造を捉えた。本研究により、河床波上の流れのうち、とりわけ斜めらせん流の実態が明らかになった。 以上から、河床波の波高を増大させるのは斜めらせん流であることが明らかになった。したがって、与えられた水理条件に対して、そこに発生する斜めらせん流の強さとスケールが決定できるようになれば、河床波の波高の予測が可能となると考えられる。
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