研究概要 |
2軸曲げを受けるSRC長柱の合理的な設計法を導くため、一定軸力と任意方向水平力を受ける、H形鋼を内蔵するSRC長柱の弾塑性性状を実験的、理論的に調べ、SRC長柱の2軸曲げ弾塑性挙動について示した。 試験体は材質SS41の溶接組立H形鋼H-50×50×3.2×3.2mm、4Φの主筋、帯筋からなるSRC長柱であり、コンクリート断面をもとにした柱の細長比は20、50、水平力の主軸となす角度は0゜、22.5゜、45゜の3種類、軸力の最大軸方向圧縮強度に対する比は、0,0.2,0.33の3種類の計18体とした。 SRC試験体は鉄骨のはりと結合されて、載荷用口形骨組のはりの上に単純ばり形式でセットされ、油圧ジャッキにより一定軸力と漸増水平力が載荷された。試験体断面主軸を傾けることにより水平力の作用角度を変化させた。得られた結論は次の通りである。 1)SRC短柱は圧壊で最大耐力が決まるが、長柱は安定限界で耐力が決まる。2)長柱の最大耐力は軸力が大きくなると著しく低下するが、短柱の場合は軸力の違いによる最大耐力の差は小さい。3)長柱の最大耐力は水平力の載荷方向角θが0゜の時最大となり、θが22.5゜,45゜のときはほぼ同じ耐力値で低い値であるのに対し、短柱の最大耐力は載荷方向角が0゜,22.5゜の時ほぼ同じ値で最も高く、45゜の時低くなる。4)水平力が最大になる時の長柱の曲げ耐力は、終局強度理論による曲げ耐力曲線に達しないが、短柱の曲げ耐力は曲げ耐力曲線に達する。5)2主軸方向の剛性に差がある本試験体の場合、水平力の載荷が進むにつれて強軸まわり変位増分が少なくなり、変位は反転の後減少する。そして最後は、1軸曲げの状態へ移行していく傾向が見られる。6)強軸まわり曲げに対する変位増分が0に近づく時、弱軸まわり変位が増大して、突然崩壊する。
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