研究概要 |
本研究では、サブミクロン粒子の有する問題点・動力学的特性等、研究を進めてゆく上での基礎事項の検討を行うと同時に、実測を通じた大気中のサブミクロン粒子及び燃焼施設より排出される燃焼核の実態を把握し、更にサブミクロン粒子の動力学的挙動を、ブラウン拡散による凝集現象を中心として実験的・理論的に検討した。以下に本研究の実績の概要を項目別に示す。 1.基礎事項の検討 1)サブミクロン粒子の問題点の把握;既往の文献調査により、サブミクロン粒子の大気汚染へ与える影響及び人体への影響等を把握した。2)サブミクロン粒子の動力学的挙動の検討;サブミクロン粒子のブラウン拡散による凝集現象に着目し、その経時変化に関する理論展開、粒径分布の移行形態等を把握した。 2.実測 1)大気中のサブミクロン粒子の実測;大気の粒径分布,個数濃度の出現頻度,時刻変動,ピーク粒径の出現頻度等の実態を把握した。その結果、大気の粒径分布は粒径0.05〜0.1μmの範囲に単一ピークを有する対数正規分布に近い形状を示す場合が多く、またサブミクロン領域ではその濃度変動が他と比較して大きいことが明らかになった。2)各種燃焼施設排ガス中の燃焼核の実測;大気中に放出されるサブミクロン粒子として化石燃料の燃焼過程において生じる燃焼核を取り上げ、実際の固定発生源における実測を通じて、その排出濃度特性を把握し、1)で得られた結果との比較・検討を行った。その結果、燃焼核の排出濃度は大気の【10^2】〜【10^4】倍と非常に高く、粒径分布も粒径0.01μm以下に小粒径側の突出したピークを有する二重ピーク型を示すことが明らかとなった。 3.理論的検討;ブラウン拡散による凝集理論を検討し、燃焼核への適合性を実験的検証した。その結果サブミクロン粒子の粒径分布・濃度の経時変化において凝集理論に合致することが確認された。
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