研究概要 |
1.救急医療需要推計の基礎資料を得ると共に患者受け入れ体制整備の指針を探る目的で、熊本市内の医療機関を対象に特定施設調査と、外来患者の時間断面調査を実施した。前者は昨年度の熊本赤十字病院救命救急センターにおける外来患者調査に引き続くものであり、救急医療のもう一つの核と位置づけられる熊本地域医療センターの外来患者6641人について10項目を調べた。 2.後者は、歯科医院を除く全医療機関513機関を対象に、患者の受け入れ体制と、予じめ定めた1週間の外来患者数を尋ねた機関調査票と、当該期間の救急患者全員のプロフィールや傷病程度に関する医師の所見など10項目を尋ねた患者調査票を郵送し、回答を求めた。なお、救急患者の定義は次のいずれかに該当するものとした。(1)消防機関の救急車で搬送された患者(2)救急性があるとの判断で他の医療機関から転送された患者(3)休日・時間外(19時〜7時)の外来患者(4)救急専問の窓口の外来患者。全部で316の医療機関から回答があり、1週間の全外来患者(延べ)158453人に対し、救急患者は1658人となっており、それらの患者の調査票を得た。 3.2つの調査から、時間外に自己判断によって来院する軽症の患者が多いことが分った。医学的に見て救急性のある患者の受け入れ体制を整備するのはもとよりであるが、それらの時間外患者の対応策が必要なことが分った。後者の調査についてはサンプル数が不足しており、来年度追加調査を行った上で、時間外の需要量と対応策を検討する予定である。 4.熊本県内の医療機関に関する資料を入手した。昨年開発したアクセス分析システムで利用できるようデータベースを構築した。本年度は1,2の調査に重点を置いた結果、システムを用いた医療サービス水準の評価作業は来年に繰り超すことになった。
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