研究課題/領域番号 |
60550427
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
武者 英二 法政大, 工学部, 教授 (10090664)
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研究分担者 |
崔 康〓 法政大学, 工学部建築学科, 助手 (70163722)
永瀬 克己 法政大学, 工学部建築学科, 助手 (30061237)
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キーワード | 民家 / 集落 / 空間構成 / 伝統 / 沖縄 / 民俗 / 集落形態 / 神観念 / 渡名喜島 |
研究概要 |
本研究は2年間にわたり、今年度がその最終年度である。以下その概要を報告する。 1.渡名喜村の村落史 渡名喜村がいつ頃から発生したかは定かでない。「球陽」(1973〜75年編集)に渡名喜島の人々の善行談が見られるのが文献として最も古い。かつて、島内に古文書があったと見られるが、飢饉の折の養蚕に古文書が蚕の床として使用され、消滅したと伝えられている。したがって、遺跡時代(渡名喜島で最も古い貝塚が3千数百年前とされている)から球陽の間を埋める文献は少なく、集落の発生,移動については口伝から想像で推定する結果となった。 2.伝統的住居の特質 民家の実測から、詳細な屋敷構成と平面形ならびに構法の特質を知ることができた。その特徴の1つが、敷地の断面形が、すべて道より1〜2メートル低くなり、その周囲を石垣と福木の防風林で囲った構造である。そのためのさまざまな工夫が見られる。特徴の2は、屋敷内の家屋配置と主屋の平面形である。配置では、北西角のフール(豚便所)の前が作業スペースとして確保されていること。主屋の平面形では、居住部分と炊事部分が南面に一直線に配置されていることである。この例は一般的な沖縄型住居にはきわめて少ない。 3.集落構成と景観 集落の実施踏査からさまざまな情報を得ることができた。その1つが道の特質とそのメモリアルな意味である。形態的特質は、近代都市計画に見られるような美しい井然型の形態であるが、実際に歩いてみると微妙に変化し、複雑な美しい景観を生みだしている。メモリアルな意味として、街路の一部が広場となり拝所や井戸に接している。これらで行なわれる年間の祭礼は、村落の歴史の再現とも見られる。実地踏査は集落構成要素集積図として'86年の姿を記録した。
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