研究概要 |
明治以後昭和20年までに刊行された建築書について, 当初, 漠然と数千冊におよぶと考えていた. もし数千冊とすれば, その量を個人的に通読し, その内容の大略を記憶することは, 不可能であるし, その情報量を処理するには, コンピューターの導入によるしかない, と考えてきた. しかし, 建築書のリストを作ってみると, 千冊台の範囲に納まることが分って来た. 結論からいうと, 総量は意外に少なく, この範囲なら, コンピューターの導入の必要はなく, 個人蔵書と同じように, 通常の読書の積み重ねによって, 情報を処理できることが明らかとなった. このことは, 今後, コンピューターによるデータバンクの必要性の有無を考えるうえで大きな参考となる. また, 主要な図書とは何かを決めるため, 本研究室の蔵書のうち何がもっとも良く使われているかの調査を行ない, その結果, 建築家の作品集及び評論集であることが分った. また, これまで, あいまいであった分類の問題に結論を出すため, 国会図書館の分類などを調査したが, 我々近代建築史の研究者が専門的に利用するには, 大雑把すぎるのと実情に即していないことが分かり, そこで独自の分類をなした. その分類の特徴は, 千冊台という量にかんがみ, あまり細かい分類は, 利用を繁雑にするだけであるから, 大分類だけにとどめることにした. 以上のことを踏まえて, 建築書の総目録を作り, 主要な本について解題を付した.
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