昨年度の研究により、Fe【CI_2】により炭素飽和鉄中のSiを塩化除去することのできることが明らかとなった。しかし、Fe【Cl_2】の管理がかなり大変であること、使用する塩化鉄量が銑鉄1t当り約1t必要となることによる超エネルギ損失という問態点のあることがわかった。 本年度は上記の点を解決するため、【Cl_2】ガスを直接炭素飽和鉄中に吹き込み、余分に塩化されて発生したFe【Cl_2】は【H_2】にて還元することとした。 実験方法は次のようにした。約30gの炭素飽和でSi含有量0.5%の溶鉄を黒鉛るつぼ中に溶解し、アルミナ製のランスをこの計料の底まで入れて【Cl_2】ガスを吹込んだ。溶鉄の表面には別のランスから【H_2】ガスを吹付けた。温度は、1350℃とした。 以上の実験から、0.5wt%のSiを0.05wt%Siにまで下げることのできることがわかった。また、鉄損失量は最大でも5%であり、あまり問題にならないこともわかった。 本研究条件下では、40ml/minの【Cl_2】流量までは、反応速度はガス流量に依存し、それ以上ではガス流量には依存しない。また、塩化反応は溶鉄中のSi濃度の一次反応として記述できることが考察された。以上の結果より、本反応の律速段階は溶鉄中のSiの移動速度であろうことが推定された。 次年度は、反応速度定数の温度依存性、銑鉄中に共存するMnの脱珪時における挙動をしらべる予定にしている。
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