研究概要 |
第1章では, 溶銑中のSiを塩化することによりSiCl_4を得ることの利点についてのべた. 第2章ではこの研究に関する文献調査の結果をのべた. 第3章ではSiの塩化反応に関する熱力学的所見をのべた. 第4章では実験方法をのべた. まず最初, 塩素ガスによる塩化法についてのべ, 次いでFeCl_2による方法をのべた. FeCl_2は黒鉛製のプランジャを用いて溶鉄中に投入した. 第5章で実験結果をのべた. 塩素ガスでの塩化はSiの塩化と共にFeの塩化も生じ, 脱珪としては好ましくないことがわかった. FeCl_2での塩化では, Siの塩化が可能であることがわかった. 第6章では実験結果に関する考察を行った. その結果次のことが明らかになった. (1)反応は見かけ上溶鉄中のSi濃度の一次反応として記述できること, (2)反応速度は試料重量の逆数に比例すること, (3)反応速度には温度の影響があらわれないが, これは温度が高くなるとSicl_4の標準生成自由エネルギーが大きくなることによる駆動力の減少によるものであること, (4)1回に投入するFeCl_2の量は少い方が効率が良いこと. (5)回収された塩化物はFeCl_4であること. 上記の考察のほか, Si以外の溶鉄中不純物の塩化精錬の可能性についても考察した. FeCl_2によりCuも精錬できることを考察し, 実験にてこれを確認した. さらに, 塩化物以外のハロゲン化物でのSiの脱珪について検討した. 最も有望なのはふっ化物であることが考察された.
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