研究概要 |
1.緒言 最近の鉄鋼事情より鋼材の販路開拓のために、鋼の高品質化、とくに極低りん鋼、極低硫鋼の要求が次第に強くなってきている。脱硫は溶鉄の予備処理が有効で定着しつつあるが、脱りんは製鋼炉あるいは取鍋精錬炉で実施されている。しかし、【P!_】+【S!_】≦50ppmとなるような処理は最終工程の取鍋精錬で行うことが有利と考えられる。そこで本研究ではソーダ系フラックスを用い、同時脱りん、脱硫の可能性を種々の面から検討した。 2.実験方法 タンマン炉(静止浴)と高周波炉(攪拌浴)を用い、供試の【F_e】-P-S合金は、電解鉄、試薬の硫化鉄およびフエロリンを所定の割合に配合し、マグネシヤ坩堝中、Ar雰囲気で静止浴は300gr、攪拌浴は1200grをそれぞれ溶解し、1600℃に保持した後、加圧成形したフラックス(2【Na_2】O,Si【O_2】と2CaO,Si【0_2】を所定の割合に混合)30grあるいは100grを上部から添加した。その後所定時間毎にメタル試料を吸上げ採取し、また最終時のスラグ試料も採取し、それぞれ分析して、スラグ組成(【Na_2】O/Si【0_2】【Na_2】O/CaO)、溶鉄の酸素ポテンシャルと脱P率、脱S率、PおよびSの分配比、CpおよびCsなどとの関係を平衡論的に考察した。なお併せて鋼浴攪拌の影響についても検討した。 3.実験結果 (1)、スラグの【Na_2】O/Si【O_2】比は0.4〜1.1まで変動したが、この比の増大とともに脱P,脱Sともに向上した。(2)、フラックスの【Na_2】O/CaOは4〜2に変化させたが、脱P率,脱S率ともに4で最大となり、この比が小さくなると脱S率は著しく低下した。CaOの脱硫力は【Na_2】Oに比べて弱く、CaOの【Na_2】O当量は脱Pでは0.8、脱Sでは0.3であった。(3)、鋼浴を攪拌すると脱P,脱Sともに著しく向上した。
|