研究概要 |
1.衝撃等方圧圧粉 (1)成形用圧力容器:試作の焼ばめ高圧シリンダ及びピストン(0.8GPa)の強度,シーリング及び寿命は高速成形に使用する場合の方が良好である。(2)純チタン圧粉体:(1)同一のピーク加工圧力に対する圧粉体密度は低速成形体の方が高いが、粉体に与えた正味の圧粉仕事が同一ならば、高速圧粉体の方が高密度かつ高強度となる。これは圧粉速度の効果によるのであろう。(2)圧粉体の密度が大きい程強度が高く、また密度が等しければ圧粉速度に関係なくほゞ強度も等しい。(3)衝撃等方圧成形では試料粉体中の脱気が必要である。空気が閉じ込められた圧粉体は強度の低下を招く。(3)チタン合金(Ti-6Al-4V)圧粉体:(1)衝撃通電予成形において磁場拡散抑制器が成形体密度の向上に有効である。(2)圧粉体密度・強度に及ぼす等方圧負荷速度の影響は明瞭には現われなかった。 2.焼結 (1)純チタン:(1)最適焼結温度は1200℃、最適焼結時間は60分程度である。(2)焼結前密度比85%以上の焼結体の伸びは高速圧粉体の方が大きい。(3)焼結前密度比の等しい焼結体の絞りは高速圧粉体の方が大きい。 (2)チタン合金(Ti-6Al-4V):最適焼結温度は1300℃である。3.まとめ (1)以上により、物理的・機械的性質の優れた純チタン焼結部品の製造条件は、できるだけ高密度(密度比85%以上)に高速圧粉すること、及びその焼結条件は温度1200℃,時間60分程度である。(2)チタン合金については、入手可能であった合金粉末が大粒で亜球形,かつ高強度であったため、本研究では最高75%程度の密度比を達成するに留まった。従って、この場合の最適加工条件については検討できず、より高圧・高速あるいは母合金粉末の利用等による圧粉などは今後の課題としたい。(3)高密度化に極めて有効な高速鍛造は時間の都合で割愛せざるを得なかったが、この検討も今後の重要な課題である。
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