研究概要 |
60年度においてAl-12.5〜13.3%Si合金にSrを添加し、添加量と組織ならびに冷却曲線との間に深い関係があることがわかったので61年度は特にAl-Si-Sr3元共晶点近傍の状態図を作り、状態図と組の関係を調べ、以下の結果が得られた。 1)主に熱分析,X線回折,組織観察等によりAl-Si-Sr3元系のAl-Si2元共晶点近くの状態図を明らかにした。これによるとAl-Sr【Al_2】【Si_2】擬2元系が存在することがわかった。また、Al-Si-Sr【Al_2】【Si_2】の3元共晶点組成は、Al-13.1%Si-0.03%Srであることがわかった。 2)Si量を12.6,12.8,13.1,13.3%と一定とし、Sr量を0〜2%程度まで変化させた合金の熱分析、組織観察を行ったところ、熱分析曲線の停滞温度と状態図の2元共晶パイプの温度が対応していることがわかった。 3)種々の合金の熱分析および組織観察を行いその対応を調べたところ、共晶組織が微細になっている合金では、熱分析曲線の停滞温度が2元共晶温度より低い575℃程度であることがわかった。これより停滞温度の高い合金は粗大なAl-Si2元共晶組織やSr【Al_2】【Si_2】相が見られ、改良が不充分であると考えられた。また、本系合金の共晶組織の微細化と状態図には深い関係があり、特に本系合金の共晶組織の微細化機構は、3元共晶組織の晶出によるものと考えられる。 4)約5kgのAl-12.6%Si-0.06%Sr合金を730℃で種々の時間保持したところ、約12時間までは微細な共晶組織を示し、Na添加に比べ微細化効果が著しく長いことがわかった。また24.4時間でもとの粗大な共晶組織となった。これに対応する熱分析曲線を見ると微細な共晶組織を示すものは、575℃程度で停滞しているが、粗大な共晶組織のものは、Al-Si2元共晶温度に近い値を示していた。
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