研究概要 |
1)Al-12.5%〜13.3%Si合金について, ストロンチウム添加量を0〜0.5%と変化させた各種合金について, 本研究で作製した熱分析装置を用いて熱分析を行い各合金について冷却曲線を得た. これらの冷却曲線を見るといずれの合金の場合においても共晶反応による停止線分が見られる. この停止線分温度は, Sr無添加の場合の577°C(850K)よりSr添加量0.014〜0.1%の範囲で575°C(848K)程度まで低下し, 更に多くのSr添加により再び上昇する. これは, Al-Si-Sr3元合金状態図を考えると最初の温度低下は, Al-Si2元系から下る共晶パイプの降下によるものであり, Sr添加量が更に増すと高Sr側から降下してきた共晶パイプの領域に入る為に停止線分温度が上昇するものと考えられる. 2)熱分析による曲線を見ると, 停止線分に至る直前に過冷却が観察された. この過冷却部の温度と停止線分の温度との差を過冷度と考えた場合, 各合金においてSr添加量を増加させていくとこの過冷度が小さくなることがわかった. これよりこの過冷度(停止線分の温度変化)を調べることによっても, Srの添加による微細化効果を判定できることがわかった. 3)上記の熱分析法および組織観察によりAl-12.6%Si-0.06%Sr合金について, 750°cにて溶湯を保持し微細化効果の持続性の実験を行ったところ, 溶解量5kgの規模では, 12時間以上Srの効果があることがわかった. また, 効果の持続している間の合金の熱分析冷却曲線において, 共晶反応による停止線分温度は, 575°C(848K)となり2元共晶の577°C(850K)よりも低い値となった. またこれらの結果については, 「軽金属」Vol.37, No.2, 1987にて発表済である.
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