研究概要 |
1)新しく精密な熱分析装置を作製した. 熱分析装置の構成は2台の定電圧発生装置と記録計および熱電対よりなる. 定電圧発生装置の1台は, 測定範囲以下の熱起電力をキャンセルする為に用い, もう1台を測定範囲の設定に用いた. 熱電対は, 補償導線を用いずに直接結線することにより, 精度の高い測定(±0.2℃)ができた. 2)熱分析曲線の水平線分と過冷度から共晶微細化効果の判定ができた. 3)熱分析曲線上の変化は, AL-Si-Sr3元系状態図によりうまく説明出来ることがわかった. 4)Srの添加により, 過冷度も変化する. この過冷度はAL-Si2元合金が最も大きく, Sr添加量の増加とともに減少する. 5)熱分析曲線上の水平線分温度が, AL-Si-Sr3元系の共晶温度575℃に近いほど共晶組織微細化効果が大である. またこの様な合金の過冷度は, AL-Si2元合金のそれより3〜4℃小さい. 6)Sr添加量が多くなると水平線分温度は, 再び上昇する. 一方過冷度は更に小さくなる. このような場合, 共晶組織は小さくなるが, 2元共晶(AL+T)または初晶T相が出現し, いわゆるover modificationとなる. 7)Sr添加による微細化効果の持続性は, 溶湯量5kgでSr添加量0.06%の場合, 12時間以上保持しても効果があった.
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