研究課題/領域番号 |
60550515
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
金属材料
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
美浦 康宏 九大, 工学部, 助教授 (80037879)
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研究分担者 |
堀田 善治 九州大学, 工学部, 助手 (20173643)
佐野 毅 九州大学, 工学部, 助手 (70037810)
根本 実 九州大学, 工学部, 教授 (90005265)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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キーワード | Al合金 / Al-Li合金 / ぜい性 / 水素チャージ / 低温変形 / 破壊 / SIMS / 偏析 / 時効析出 / 規則粒子 / 超格子転位 |
研究概要 |
リチウムを2〜3重量%含むAl合金が、軽量・高剛性の航空機材料として実用化の第一歩を踏みだした。しかし、従来Al-Li合金の欠点とされていた低延性・低靭性の原因が解明された訳ではない。ことに粒界脆化の要因は不明のまゝである。本研究では、基本系であるAl-Li2元合金について、水素添加およびNa,Kなど不純物元素の偏析と機械的性質との関係を系統的に調べ、低延性の原因や破壊挙動を検討した。結果はつぎの通りである。 1.Liを添加したAl合金は従来のAl合金に比べて多量の水素を含む。 2.電解水素チャージを行ったAl-Li2合金は、室温の耐力がやゝ上昇し、伸びは低下する。この傾向は、亜時効からピーク時効状態にかけて見られ、過時効状態では殆んど見られなくなる。 3.TEM(透過電子顕微鏡)観察により、水素チャージした時効材の粒界近傍にボイド及びその周辺の強い歪コントラストが認められた。これは吸蔵水素に依ると推定される。 4.低温引張破壊した試料の破断面のSIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)分析によって、高濃度のNaおよびKが検出された。破面形態は、時効材では粒界ぜい性破壊、焼入れ材では粒内延性破壊が支配的である。 5.破面のNaおよびK量と破断までの伸びとの間に相関が認められた。すなわち、NaおよびK量が増大すれば伸びは低下する傾向にある。 上記の実験結果は、Al-Li2元合金(約3ωt%Li)の室温から低温側における機械的性質が水素の存在によって劣化すること、および破壊挙動が、NaやKの偏析状態と直接関係することを示している。
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