異種金属のプラズマアーク溶融溶接において軟鋼とAlの接合界面にはη-相とθ-相の層が生成し、η-相は舌状組織として軟鋼側に伸び、θ-相は粒状晶としてAl側に成長する。銅溶加材の使用でそれらの化合物の生成は阻止出来るが、ビード下部に対流の発生による不完全混合域が存在する。軟鋼と銅の接合では融合部に対流、溶融境界部附近に対流渦が生じ、融合部は偏析も大きく不完全混合領域となる。軟鋼とステンレス鋼の接合では均一な組織で完全混合領域として存在するが、軟鋼側の溶融線にはフェライトバンドの生成がある。プラズマアーク下の溶加材溶着において、Fe母材にCが加わるとNi又はNi-Feの溶着溶融境界は乱れ、母材へのNiの浸透が粒界ぬれの促進によって起る。Fe-C-Si母材の時はNi元素が熱影響部の融解部迄全面的に拡散する。CoへのNi又はNi-Fe溶着ではCoへのNiの侵入によって溶融線近傍に舌状組織が、Ni-FeのCoへの浸透によって溶融境界部に微細な柱状サブ組織が表われる。更に異種金属接合に対して効果が著しいと思われる高電流パルスアークによる表面溶融形態については、軟鋼のビード表面は波状を呈し、その波目数はパルス周波数の増加と共に放物線的に増加しトーチの移動速度の増加で減少する。トーチの移動速度が280mm/minの時、中間周波数帯(47.5〜500Hz)では不斉ビードとなる。軟鋼の溶融巾は周波数の増加と共に減少し、トーチの移動速度が速いと減少する。溶融深さは周波数の増加と共に減少し、中間周波数帯ではその減少の割合が大きい。パルスTIGアークによる軟鋼とAlの接合で、その境界面には主にξ-相(Fe2Al2)とη-相(FeAl5)が生成しているようである。また境界面のAl側に非常に薄いθ-相(FeAl3)も観察される。これらの化合物の生成の詳細については不明であるが、パルスアーク下の溶融池では大きく揺動するなどして組成的な変化を与え、その組成的過冷現象がこの新しい化合物の形成に寄与するものと考えられる。
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