研究概要 |
軟鋼およびオーステナイト系ステンレス鋼を合わせ材とし, 母体を軟鋼とした爆接クラッド鋼について, その板厚方向の残留応力をひずみゲージ法にて測定した. その結果, 軟鋼同志の爆接クラッド鋼の場合, 接合境界部に最低引張残留応力が存在し, その周辺部には圧縮残留応力が存在するような接合境界に対し対称となる分布形態を示した. そして, この残留応力の発生因子が, 合わせ材が母材に高速衝突した際に発生する瞬間熱源による熱応力であることを推論した. オーステナイト系ステンレス鋼爆接クラッド鋼の場合最大引張残留応力は, 接合境界部ではなく接合境界部近傍のオーステナイト系ステンレス鋼に存在し, 接合境界で応力の不連続部が存在するような分布形態を示した. そして, この引張残留応力は, 熱処理や引張り塑性加工によって一般の溶接継手のように減少せず, 強度の塑性加工によって, 引張残留応力が増加することを明らかにした. 次に, オーステナイト系ステンレス鋼爆接クラッド鋼の合わせ材オーステナイト系ステンレス鋼の引張残留応力軽減法として, 従来の加熱概念とは逆に爆接クラッド鋼全体を液体窒素の温度に冷却する方法を採用した. そして液体窒素の温度に冷却する前に, オーステナイト系ステンレス鋼爆接クラッド鋼のオーステナイト系ステンレス鋼に存在していた引張残留応力が大きい程, 軽減量も大きくなることを実験的に確認した. 更に, 低温冷却処理による爆接クラッド鋼の残留応力軽減法の応用としてオーステナイト系ステンレス鋼溶接継手に低温冷却処理法を適用した. その結果, 溶接部傍を-100°C以下に急速に冷却すると同時に, 母材部を150°C程度に加熱することによって, 溶接部近傍を引張り塑性変形させ, 溶接部近傍に存在していた高い引張留応力を100Mpa以下にすることができた.
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