研究概要 |
電界効果トラジスター(FET)を用いる化学センサーの応用性を高めるため、酸化還元電位応答型FET電極及び酵素の特異性を組合せた酵素FET電極の開発を行い、下記の成果を得た。 1.汎用演算増幅器を用いた単電極及び三電極型測定器を設計・試作した。 2.イオン選択性FETのゲート面に種々の金属(Au,Pt,Au-Cr,Pt-Cr)を蒸着したFET電極を試作し、白金スパッタ蒸着型FET電極は良好な膜強度を持ち、酸化還元素についてネルンスト応答(58〜60mV/decade)を示すことを明かにした。 3.ペルオキシダーゼ(POD)を固定化した過酸化水素応答型FET電極を試作し、50mM以上のヘキサシアノ鉄(【II】)酸イオンを含む緩衝液(pH9.0)中で、0.002〜1mM過酸化水素に対して良好なネルンスト応答を示すことを明かにした。 4.グルコースオキシダーゼ(GOD)とPODを複合固定化したグルコース応答型FET電極を作製し、10〜50mMヘキサシアノ鉄(【II】)酸イオンを含む緩衝液(pH9.0)中で、0.02〜1mMグルコースに対して良好なネルンスト応答を示すことを明かにした。 5.酵素FET電極の応答について簡単な数式モデルを提案し、その妥当性を実験的に検証し、さらに応答機構について考察した。 6.実際試料分析を行う場合の解析方法として、標準添加法、検量線法、グランプロット法について検討を行い、グランプロット法による管理血清の分析結果は表示値と一致することを示した。 7.今後、専門メーカーの協力を得て、本研究成果をもとにして酸化還元電位応答型微小FET素子を試作し、分析化学的応用面について更に検討を行う予定である。
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