研究概要 |
高い酵素イオン導電性と電子導電性とを併せもつ,混合導電性酸化物として従来から知られているものは、(La【S_(1-)】)【C_o】【O_(3-δ)】系,Zr【O_2】-Ce【O_2】系など、極く限られている。ところで、酸素イオン導電率を高くする為にはランダムに分布した高濃度酸素欠陥が存在する事が望ましい。また高い電子導電性は原子価が不安定で、混合原子価を取り易い金属イオンを含む材料に期待される。 本研究は上述二条件を満す材料としてペロブスカイト型結晶構造をもつものに注目した。前年度にSrFe【O_(2.5〜3.0)】系とBaBi【O_(2.5〜3.0)】系を取り上げたのに引き続き、本年度はLaMu【O_(3-δ)】系と、【La_(1-χ)】【Sr_χ】Co【O_(3-δ)】系の低温での特性とに注目した。LaMu【O_(3±δ)】は従来、プロブスカイト型化合物で唯一の酸素過剰型の不定比組成をもつ系として知られていた。本研究では共犯法を用いた単-相のLaMu【O_(3-δ)】をLa/Mr比を種々に変えた試行錯誤法で作製し、その酸素不定比量を高温熱天びんを用いて500〜1300℃,酸素分在1-【10^(-13)】atmに於て詳細に測定した。その結果、LaMu【O_(3-δ)】系は、La/Mn比が約0.9のとき単-相のペロブスカイト型構造になること,組成は600℃以下,空気中ではほぼ【La_(0.9)】Mn【O_(3.00)】になるが、より高温、又は還元性雰囲気ではδψ0.2程度の大きな不定比組成を示すこと,酸素分圧【10^(-6)】〜【10^(-11)】atmでは【La_(0.9)】Mu【O_(2.85)】という組成になる事などが明らかになった。LaMu【O_3】±δ系には、従来指適されていたような酸素過剰組成は無く、高温では多量の酸素欠損を含むので、良好な混合導電体になっていると考えられる。【La_(1-χ)】【Sr_χ】Co【O_(3-δ)】系は従来から良好な混合導電体として知られているが、本申請者はxz0.7の組成では100℃程度に於てもイオン導電性が顕著であることを示唆する、試料の重量変化現象を見出している。現在、化学拡散測定を進めている。 なお、本研究の成果の最終取りまとめは投稿論文等の投稿が終る62年9月ごろに行う予定である。
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