高密度電池材料の一つとして導電性高分子が注目され、π電子共役系が主に導電性の発現する高分子として取り上げられている。この中で特に電解重合法で作製できるポリピロール、ポリアニリンをとりあげ、リチウム電池のカソード材料として利用し得る可能性を検討した。我々のすでに開発しているFFTインピーダンス法は短時間に電極/溶液界面インピーダンスを測定することで、有機膜中へのイオンがドーピングする状態をとらえることができる。この方法でドーピングイオンのドーピング脱ドーピング過程をとらえた結果、ポリアセチレン膜に比較してポリピロール、ポリアニリン膜が良好な膜応答を示すことが明らかとなった。 次に、ポリピロール膜に注目し、電解重合時の条件を変えることにより膜のイオンドーピング脱ドーピング過程を制御することを試みた。重合時のアニオン種を変えるとこのプロセスは、【PF(Λ-_6)】>【CF_3】【SO(Λ-_3)】>Cl【O(Λ-_4)】の順に速いことが明らかとなった。このように膜内でのイオン拡散速度が変わった膜をリチウムと組合せLi/プロピレンカーボネード、LiCl【O_4】/PPy(ポリピロール)二次電池を組むと、明らかに前述の膜特性に比例して二次電池特性が改良された。特に【PF(Λ-_6)】イオン重合PPy膜は電流密度2.5mA/【cm^2】まで充放電効率ほぼ100%を示した。 以上のような相違は、FT-IR法とSEM観察により重合時の化学結合の相違によるのではなく、膜モルフォロジーの相違によることを明らかにした。
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