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1986 年度 実績報告書

トリチオシクロプロペニウムイオンを利用する各種機能性物質の合成

研究課題

研究課題/領域番号 60550610
研究機関京都大学

研究代表者

杉本 豊成  京大, 工学部, 助手 (30093256)

キーワードシクロプロペニウムイオン / シクロプロペン / チオキサンテン / 〔3〕ラジアレン / 電子供与体 / 導電性 / 3重項 / 磁性
研究概要

本年度では、主として導電性有機材料および有機強磁性体作製用の構成成分となることが期待される電子供与性置換基を有する〔3〕ラジアレンの合成について検討した。チオキサンテン、2,6-ジフェニルチオピラン、1,3-ベンゾチオール、キサンテンのブチルリチウム処理により生成するアニオンをトリチオシクロプロペニウムイオンと反応させたが、目的とする〔3〕ラジアレンは全く得られなかった。そこで、トリチオシクロプロペニウムイオン合成の出発原料として用いているテトラクロルシクロプロペンと上記のアニオンと反応させたところ、いずれの場合にも目的化合物の生成が認められたが、チオキサンテニル〔3〕ラジアレン(【1!〜】)のみが分離精製に成功した。【1!〜】は青色の結晶(融点256〜258℃)として収率39%で得られた。【1!〜】の酸化還元挙動をサイクリックボルタメトリーで調べたところ、塩化メチレン溶媒中では2対の可逆な波が各々+0.67Vと+0.80V(VS.Ag/AgCl)に現われ、ベンゾニトリル溶媒中では2対の波が重なり唯1対の波として+0.69Vに観測された。各々の1対の波は1電子移動を伴なう酸化還元過程であることが確かめられたので、【1!〜】【→!←】【(1!〜)^+】【→!←】【(1!〜)^(2+)】の酸化還元反応が進行していることが判明した。従って、第1酸化(還元)電位が比較的低いことにより導電性有機材料用電子供与体として【1!〜】は利用の可能性がある。また、容易に合成しうるこのジカチオンが基底状態で3重項をとりうるなら有機強磁性体作製用の好都合な構成成分となりうるかもしれない。次年度において上記の適用性について検討する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Toyonari Sugimoto: Journal of the American Chemical Society. 108. 7032-7038 (1986)

  • [文献書誌] Zen-ichi Yoshida: Angewandte Chemie lnt. Ed. Engl.24. 60-61 (1985)

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公開日: 1988-11-09   更新日: 2016-04-21  

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