研究概要 |
トリフェニルホスフィンのフェニル基の2,6-位にメトキシ基を導入した化合物{2,4,6-【(MeO)_3】【C_6】【H_2】}【_3P】[以下、(2,4,6)【_3P】と略記する〕や{2,6-【(MeO)_2】【C_6】【H_3】}【_3】P[以下、(2,6)【_3P】と略記]がpiperidine(pka11.2)やtriethylamine(pka10.75)に匹敵する強い塩基性を示すのみならず、中性試薬としてはこれまでに例を見ぬ強い親核性を示すことが判明した。すなわち、【CH_2】【Cl_2】や、Cl【CH_2】【CH_2】Clとは常温付近で短時間で反応して4級塩になるし、【C_4】【H_9】Clや2-【C_3】【H_7】Clの様な活性の低いアルキルハライドとも穏やかな条件で反応する。 (2,6)【_3P】は室温、アルコール中(ROH)でエポキシ化合物【CH_2】C【R^1】【R^2】Oと容易に反応して【[(2,6)_3P-CH_2CR´R^2OH]^+】【OR^-】を生成する。これは過塩素酸塩として単離同定した。これらをエトキシドアニオンの存在で加熱すると、通常予期される(2,6)【_3P】=0とオレフィンは得られず、出発原料のエポキシ化合物の置換基に応じて各種の4級ホスホニウム塩が得られた。:【〔(2,6)_3P-Me〕^+】塩とケトン【R^1】【R^2】CO〔【R^1】【R^2】=Me,Me;Me,Ph;Ph,Ph;【(CH_2CH_2)_2】CH【Bu^t】〕、【〔(2,6)_3PCH_2CHR^10Et〕^+】塩(【R^1】【R^2】=Me,H;H,H)、【〔(2,6)_3P-CH_2CH=CHMe〕^+】塩(【R^1】【R^2】=Et,H)、あるいは【〔(2,6)_3P-CH=CHPh〕^+】塩(【R^1】【R^2】=Ph,H)。 また、(2,4,6)【_3P】は【CH_2】=CHCNや【CH_2】=CHCOO【C_2】【H_5】、【CH_2】=CHC(0)【CH_3】などとニトロアルカンとのMichael付加の簡便で有効な触媒(開始剤)となることも判明した。すなわち、(2,4,6)【_3P】のニトロアルカン(MeN【O_2】,EtN【O_2】,2-PrN【O_2】)溶液にこれらオレフィンを滴下すると激しく発熱し、1:1〜1:3付加物が好収率で得られた。 (2,6)【_3P】を【H_2】【O_2】で酸化して得られる(2,6)【_3P】=0が水溶性であること、過塩素酸と1:1付加物〔(2,6)【_3P】-OH〕Cl【O_4】を形成すること、各種アンモニウム塩と安定な1:1付加物〔(2,6)【_3P】=O・HN【R_3】〕Xを形成することなども判明した。
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