1.軸性キラリティー部を有する二本鎖ペプチド界面活性剤の合成 軸性キラリティー部として3.3′-ジメチル-5.5′-ジニトロ-4.4′-二安息香酸【1!〜】を含む二種の界面活性剤(カチオン性界面活性剤【2!〜】、アニオン性機能性界面活性剤【3!〜】)を合成した。 2.ペプチド界面活性剤の形成する会合体の構造と物性 (1)電子顕微鏡観察 カチオン性界面活性剤【2!〜】は、分散水溶液中では、多重層ベシクルあるいはラメラ構造を取っていること、又これらの超音波処理により単-膜ベシクルが得られることが明らかに成った。 (2)CDスペクトルと相転移挙動 【i】)CDスペクトルを測定した結果、【1!〜】の立体構造が合成ペプチ脂質の中でも保持されている事が分かった。【ii】)又これら脂質の分散水溶液について相転移パラメーターを測定したところ、通常のペプチド脂質のパラメーターと同等の値が得られたことより、これらの脂質においても強固な水素結合帯が形成されている事が、明らかに成った。 3.不斉選択選の検討 光学活性エステルの選択的加水分解を検討した結果、軸性キラリティー部は、立体的にかさ高いため、混合膜系では、基質との直接的立体的相互作用が弱められ十分不斉選択性を発揮することが出来ないことが分った。 4.今後の課題と研究計画 (1)混合膜系では、大きな不斉選択性が発揮出来なかった。そこでカチオン性の頭部、軸性キラリティー部及び活性官能基を含むカチオン二本鎖べプチド界面活性を合成し、これを用いて、当初の計画に従い、ビタミン【B_6】系の触媒を構築し、アミノ酸の相互変換を検討して行く。
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